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その宝物を包み込むようにして、優雅な趣で整えられた庭にも大きな魅力があります。
一年を通して花々に囲まれ、なだらかな坂と穏やかな池を有し、水琴窟からは古代からのわび・さびの音色が響きます。
力強く室町時代から生きる退蔵院で、穏やかなひとときをお過ごしください。
JR東海の京都誘客キャンペーン「そうだ京都、行こう。」が1993年に始まって今年で21年目。
季節ごとに京都の社寺や観光地の中から一カ所を選び首都圏を中心にテレビCMを放映したり、ポスターを駅に駅に掲示する方法で、何度訪れても発見があり紹介する場所に事欠かない京都だからこそ、長期キャンペーンにつながったと言われています。
昨年春取り上げられたのがここ退蔵院。
退蔵院の山門は、妙心寺塔頭でもバランスの整った美しい形状を残した「薬医門」であると言われており、江戸中期に建設されたものです。
「薬医門」は親柱二本、控え柱二本からなり、当時、高貴な薬医にしか与えられなかった御屋敷門の形でした。
昭和60(1985)年には京都府の有形文化財に登録されました。
当時は背景に「双ヶ丘」が望め、「双ヶ丘」を借景とした奥行きのあるダイナミックな庭であると想像されます。
50坪あまりの中に滝組・蓬莱島を中心に、無 駄なく石を配置して、絵画的な曲線を主流とした趣となっています。
「背景」「借景」など全てを取り去り「石」と「砂」の素材だけを残した「龍安寺石庭」の究極の作品と比べると、画家らしく絵画的で具体的で受け入れやすい 一面が感じられます。
また、「枯山水庭園」が禅宗寺院の「方丈庭園」をして発展していった理由には、山・川・海・大自然のみならず『大宇宙全てを限られた 広さの中で表現する』ものであったからだと言われています。
このことは禅宗哲学の根本ときっても切り離せない独特の世界があるのかもしれません。
狩野元信は、室町時代後期の画聖で、父正信の創造した狩野派画法の典型をつくり基礎を確立しました。退蔵院方丈庭園「元信の庭」は、彼が画家としてもっと も円熟した70歳近くの頃の築庭と推測されています。
自分の描いた絵をもう一度立体的に表現しなおしたもので、彼の最後の作品が造園であったことで珍しい 作品の一つと数えられています。
昭和6年(1931年)には、国の名勝史跡庭園に指定されました。
「ただでさえ捕まえにくいなまずを、こともあろうに瓢箪で捕まえようとする。」この矛盾をどう解決するか、将軍義持は当時の京都五山の禅僧31人に参詩を書かせました。高僧連が頭をひねって回答を連ねた様子は正に壮観です。
そのいくつかを紹介しましょう。
「瓢箪で鮎を押さえつけるとは、なかなかうまいやり方だ。もっとうまくやろうなら、瓢箪に油をぬっておくがよい」(周宗)
「瓢箪でおさえた鮎でもって、吸い物を作ろう。ご飯がなけりゃ、砂でもすくって炊こうではないか。」(梵芳)
凡人には理解し難い回答ですが、難問題であったと言われています。
この瓢鮎図は、退蔵院に伝えられる宝物のうちで一番重要な物で、室町時代の漢画の代表的名品として知られています。
さて、本図は題詞にも記されているように、口の小さな瓢箪でぬるぬるとしたなまずをどう捕らえるかという禅特有の意味深長な公案を画因とする禅機画です。
ここに「鮎」とあるのは「なまず」のことで、普通「なまず」は「鯰」という字を書きますが、この鯰は国字(日本の文字)のため、中国由来の「鮎」と表記されています。
このような画因による本図では、俗塵を絶した閑寂な野辺の一角、芦の生える川の畔に、ぼさぼさ頭の農夫が両手で瓢箪を押さえて立ち、水中に泳ぐ魚を捕らえんとする光景が画面中央に見られます。
なおその岸辺には数株の竹があり、背景遠くには山陰を浮かび上がらせていますが、全体としての図様は極めて簡素です。
しかし描写は意外に精密で、その筆致は細かいけれど、つよい弾力をもち宋元画の技法をよく消化しています。
そしてこの作家独特の作風を生み出し、なかなか格調の高い作品をつくっています。
その作風上の特色は、特にこの世のものとは思えない人物の表現やその人物をつつむ近景の動的な描写などがうかがわれますが、美術史的に興味を引く一つの重要な点は、それが禅機画でありながら、全体としての構図が山水画的な特色を備え、室町時代の漢画である山水画の早き例とも見られることです。
このような本図の筆者如拙は、詳しい経歴は明らかではありませんが、京都・相国寺の画僧として、室町時代初頭に活躍した人物だと言われています。
本図は、彼の遺作としてもっとも信ずべき確証をもちその歴史的価値は極めて大きいものでしょう。
寺伝にはかの剣豪の宮本武蔵が愚堂禅師を求めて参禅した頃、この瓢鮎図を前に自問自答したという寺伝があり、武蔵自作の刀のツバ(岡山県・宮本武蔵資料館所蔵)にはこの「ヒョウタンと鯰」がデザインされているものが現存するといいます。
名残り惜しいですが・・・そろそろ出ます。
毎年来たい場所です。
帰りがけにも綺麗な花が。
退蔵院のご紹介はここまでです。
後少し見処を・・・
この妙心寺には「明智風呂」というものが残されています。